シマトネリコは株立ちで仕立ててあることが多いので、手入れをする時にどこで切ろうか迷ってしまうかもしれません。
毎年手入れをしてあれば剪定する位置が決まってくると思いますが、植えて初めてや長年放置して手入れをするとなると中々手が動かなくなると思います。
剪定をやったことがない方でもできるようになるために、ここでは次のことを書きます。
上の画像は、長い間枝先だけ剪定していたので少しさっぱりさせるために、次のことに気を付けて手入れをしました。
「株の数を減らし、小さくしながら形を整え、将来的に枝が欲しいところは残す」
この木のすぐ左に家の壁があり、枝が当たっていたので幹から左は強く剪定してあります。
幹から右側は道路で、木の奥側は駐車場になっているので、邪魔にならないように結構強く切りました。
その場所ごとに剪定のやり方や考え方を変えながらやってみましょう。
難しそうですが大丈夫です。
専門知識を意識しなくても、これが分かれば手入れができるやり方や考え方を画像とイラストで解説していきます。
シマトネリコの剪定例で切り方のコツ解説 株立ちの手入れを簡単に
最初に特徴と剪定時期の目安を簡単に書きます。
特徴
- 花の色 白
- 実の色 緑・白
- 仕立て方 自然形・株立ち
- 耐陰性 普通
- 耐寒性 弱い
- 剪定 強い
- 虫 少ない
5月頃に花をつけて、8~11月頃に実を見られる木です。
寒さに弱く暑いのに強いので、植える地域によっては冬を越えられない可能性があります。
東北地方から北の地域では注意が必要なようです。
成長がかなり早いので、大きさを維持しつつきれいを保つなら年二回の手入れですが、年一回でも大丈夫です。
剪定も強い切り方ができるため、格好を作るのも融通が利きやすく、枝が柔らかいので切りやすいです。
剪定の時期
2~8月までで一番いいのは3・4月です。
花が5月なのにその前に剪定をする理由は、格好を整えながら自然形にして葉がなくならないように透かし剪定(すかしせんてい)をするため、花芽に影響が出ないような切り方をするからです。
それと、5月頃から新しい枝が伸びるので、すぐに切り口が隠れるようになります。
切り口がなるべく目立たないのはきれいに手入れできる証拠になると思います。
なので、3・4月としましたが手入れできる時間が取れる時に2~8月の間で気楽にやるのが良いと思います。
自由に手入れをするのが自分のためになります。
剪定に使う道具
木ばさみ・剪定ばさみ・ノコギリの3点セットは腰道具(こしどうぐ)といいます。
脚立は木の大きさに合ったものが使い易いので、確認してから買うようにしましょう。
熊手・ほうき・みがあれば片付けが楽になるので揃えておいた方が良いです。
道具に関しては下の記事にオススメを含めてまとめておきましたので、参考にしていただけたらと思います。
手入れをする前に仕上がりをイメージする・不要枝を探す
全部の剪定のやり方で共通のこの2つをやっておくと剪定が簡単になりやすいです。
仕上がりのイメージ
どの木でもイメージが大事になります。
なんとなくでもどのくらいの大きさにしようか決めておくと、枝を切る位置が分かりやすくなります。
いきなり切り始めると大きさが分からなくなり手が止まってしまうことがあるからです。
なので「この辺かなぁ」くらいのラフなイメージでもしておくと気持ち的にも楽になります。
不要枝を探す
シマトネリコの場合は「やご・ひこばえ・胴吹き・枯れ枝・交差枝・徒長枝」この辺りに気を付けながら見つけてみるとやりやすいです。
見つけられたらそれはいらない枝です。
元から切るだけで結構さっぱりさせることができるし、手元が透けて見やすくなるので効率も良くなります。
作業を流れよく終わらせると体の負担も減らせるので、ざっとでも先に見つけておくようにしましょう。
下の記事では剪定をなるべく簡単にする基本を書きましたので、知識にしていただけたら嬉しいです。
簡単な手入れの方法
コツを掴めばこれらの剪定方法を臨機応変に使って自由に手入れをすることができます。
形を整える剪定
形を整える場合の手順は
- 下から不要枝を元から切りながら上まで行く
- 仕上がりイメージより中にある枝分かれの真ん中を切る
- 切った枝はちゃんと落とす
- 下までこれを繰り返す
- 1~4をやりながら木の周りを一周して完了
- 眺めて確認
- 片づけて満足と改善
この手順でやっていきます。
1.不要枝を下から切っていくと、徒長枝・立ち枝がなくなり脚立を立てやすくなったり、胴吹き・枯れ枝もなく中の方の枝分かれが見つけやすくなるからです。
2.仕上がりイメージは切ったところではなく、切ったところから伸びている枝の先です。
枝が3本出ていたら真ん中を切ると、両脇の枝がふたまたで同じくらいの長さで揃いやすくきれいな形になります。
これが木の剪定で一番使う知識です。
3.切った枝が引っかかったら全部落としましょう。
ちゃんと落とさないと、切られた枝の葉が乾いて黄色くなり見た目が悪くなってしまうからです。
4.無理しないで手の届く限りの範囲を枝分かれの真ん中を切り、引っかかりを落としながら下まで繰り返していきます。
下まで剪定をしたら一度確認をしてみると良いと思います。
脚立を動かす前に手直しをしておけば、同じところに脚立を立てる二度手間をなくすことができます。
脚立を動かす時は、落ちている枝などをどかしてから動かすようにすると安全で楽です。
5.1~4の作業を繰り返して木の周りを一周すれば剪定は完了します。
6.離れていろんな角度で眺めて確認しましょう。
最初にした仕上がりのイメージに近づけられれば成功です。
7.片付けをして、1本の木を1人で終わらせたことに満足しましょう。
達成感を感じると、楽しみになったり次やる時の自信にもつながるから大事なことだと思います。
それと同時に次はこうに切ってみようとか、新しい枝をつくってみようとかを考えると面白くなってくると思います。
何事も楽しくやれれば苦にはならないので、気楽にやってみましょう。
小さくする剪定
小さくする手順は、切る回数は少ないですが残す枝の見極めにコツがいります。
- 下の枝から剪定ばさみとノコギリで仕上げる
- 幹に近い枝分かれで切る
- 幹や主な枝から細い枝が出ていたら残す
- 高いところから大きめな枝を落とす時は、枝が水平に着地するように
- 仕上がりイメージの輪郭は、へこんでいる部分があってもいい
- 目的の大きさは小枝が伸びた時に達成する
1.下の枝から仕上げていくと小さくしやすいです。
強く剪定する場合高いところから切り始めると、枝を落とす時に落としにくくなったり、下の枝の広がりより外に落とさなければいけないため、ゴミが広い範囲に散らかる可能性があります。
下の枝が広がっていると脚立も立てづらくなり、高い位置の幹までの距離も遠くなってバランスを崩しやすくなってしまいます。
手の届く範囲で下の枝から切り始めて、木を一周剪定してみると形が見えやすいし安全に作業できます。
2.幹に近い枝分かれで切り戻すと、将来の完成がきれいになります。
これは基本の切り方の応用ですが
「主な1本の枝から2本に分かれその先で2本に分かれる」
この枝の伸び方を目指して剪定と成長を繰り返していきます。
切り戻したところが完成形ではないことを意識した手入れです。
3.幹や主な枝から出ている新しい枝は、枝の向きを見て残しましょう。
強く剪定する時に大きな枝を元から切り小さな枝と入れ替えて作り直すことも必要だからです。
新しい枝が伸びた時に邪魔になる大きな枝は元から切りましょう。
4.高いところから大きな枝を落とす時は、枝先や切り口から落とさないようにしましょう。
枝先から落ちた場合、木のしなりで予想外の方向へ跳ねて飛んでしまうことがあります。
その時、勢いよく切り口から飛ぶため何かにぶつかると傷が付いたり壊したりしてしまいます。
切り口から落とした場合も、コンクリートやインターロッキングなどの端に当たると割れてしまったりします。
それらの危険を回避するためになるべく水平に地面に落ちるようにしましょう。
5.仕上がりイメージより中にへこんで見える場所があっても大丈夫です。
今後の剪定でその部分の枝を伸ばして、隙間をなくしていけるからです。
はみ出して見えてしまう部分は少し切りなおしておいた方が良いです。
6.完成形は手入れが終わった時ではなく、新しく伸びた枝を剪定して、仕上がりのイメージまできれいな枝の向きで伸びた時です。
ここを意識しながら剪定することが大切です。
次の項目も参考にしながら残す枝を考えてみましょう。
枝を増やす剪定
枝を増やす目的は大きく分けて3つ
- 空きすぎている隙間をなくす
- 栄養の分散
- 幹を太らせにくくする
空きすぎている隙間をなくす
離れたところから見て隙間が大きいところは新しく枝を作ります。
作る時は枝の向きに注意しながら剪定していきましょう。
栄養の分散
枝を作ることで栄養を分散させられるので、毎年強く伸びてしまう枝を少なくしたり、太く伸びないように、ある程度調整ができます。
太く伸びた枝は切るのが大変なので、枝数を増やしてみるのも一つの手だと思います。
幹を太らせにくくする
枝を少なくするとどうしても幹が太くなってしまいます。
枝に行く分の栄養が幹にとどまるからだと思います。
サツキの盆栽では、幹を太らせるために枝を全て切り、頃合いを見て枝を作る方法があります。
一本の木が吸い上げられる栄養は決まっているので、剪定や枝の作り方で調整してあげましょう。
そうすることで、生活の邪魔にならずきれいな庭を保つことができると思います。
株を減らす、または増やす時の考え方
株立ちの数を減らす
減らさなければいけないと思う理由は
- 駐車場・家・通路が近く、枝が当たりそう
- 幹同士が絡んでいたり、くっついている
- 株が広がってきている
- うっそうとして見た目が気になる
このように色々な問題があると思います。
一番は生活の邪魔にならず景観を損なわないことだと思うので、その目的に合わせ株の本数を減らしましょう。
例としてはこんな感じで減らしてみました。
切り口はなるべく地面に近いところで切らないと、新しい芽が出てしまったり、短く残った幹が枯れて菌が入ったりアリが巣を作ったりして木が弱ります。
どの木でも切れる限り下の方で切るように心がけてください。
株立ちの数を増やす
増やす時の考え方としては
- もっと大きくしたい
- 将来的に小さくしたい
- 株の一部が枯れた
- バランスが悪い
- 大きな隙間がある
このような理由が挙げられます。
もっと大きくしたい・バランスが悪い・大きな隙間がある…広げたい方向のひこばえを残して育てて形を整えながら伸ばしていきましょう。
将来的に小さくしたい…やご・ひこばえを切らずに伸ばします。ある程度大きくなったら、それ以外の太い幹を切ります。古い幹と新しい幹を入れ替えるイメージです。
株の一部が枯れた…枯れた幹をできるだけ地面に近い位置で切り、代わりとなる幹を作るようにします。
枯れてしまった原因があると思うので、切った幹に穴が空いていてアリや虫が入った形跡がないか確認してください。
土に原因がある時の簡単な対処法は、幹から株の幅2~3つ分の辺りをスコップで深さ10㎝くらい掘って、土に堆肥を混ぜて埋め戻したら表面に化成肥料の8-8-8を一握りパラパラと撒きます。
一度に撒きすぎると、肥料やけという状態になり逆に木を弱らせてしまうので気を付けてください。
化成肥料の8-8-8の用途は幅広く使えて、「芝・草花・野菜・植木」など植物のあるところほとんど使えて大活躍します。
草花や野菜の場合は葉に乗っからないように、必ず地面に撒きましょう。
話がずれてしまいましたが、株を増やす時は大きくしたい場合でも小さくしたい場合でも使う考え方になります。
まとめ
シマトネリコは伸びが良く丈夫で、虫も少ないので手入れがやりやすい木なので、練習にちょうどいいかもしれないですね。
剪定のポイントのまとめをしていきたいと思います。
形を整える時や小さくするときはこの手順で大丈夫です。
大事なのは「3本あったら真ん中を切る」を意識すればきれいに仕上がります。
小さくするときの大事なポイントは「剪定が終わったら仕上がりではなくて、残した枝が伸びて仕上がるようにする」を心がけます。
隙間が空きすぎてるときは「新しい枝を残し、育てて隙間をなくしていく」将来のことを考えて残してみましょう。
枝を残したら「栄養の分散」も実験的に考えてみると面白いと思います。
伸び具合の違いが出たら成功みたいな感じで、遊び感覚で剪定してみてください。
株を減らす時は、「できる限り地面の近くで切るように」すると、今だけではなく将来的にもきれいになるので、気を付けて切りましょう。
このようなことに気を付けながら手入れをしていくと、初めてハサミを持つ方でもきれいな剪定ができるようになれます。
木の手入れは基本があっても正解がないと思っているので、やる人・見る人がきれいと思えるのが1番の正解だと考えて、自信をもって剪定してみてください。
このブログのホームに剪定の基本や、使う道具と片づける時のやり方などがまとめてありますので、参考にしていただけたら幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
このブログでは、主に木の手入れを書いていますが、植栽や石の並べ方・草刈り芝刈りなども書き進めていますので、読んでいただいた方の技術や知識にしていただけたら嬉しいです。
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