新しく木を植える時も、今ある木を移植(いしょく、木を移動すること)する時も、今よりキレイにとか生活の邪魔にならないようにしようと思いますよね。
木の植え方を少し変えるだけで見た目がかなり変わるので、試したり知識にしていただければと思います。
この記事はちょっと長くなってしまったので、目次から「まとめ」をクリックしていただければ簡潔に書いてあるところまで行けます。
木を植える手順やコツ 植え方で木の良さは引き立つ
まずは手順から書いていきます。
- 場所を決める
- 植える木の剪定をする
- 植える穴を掘る
- 木を植え穴に立てて向きを見る
- 土を7~8割り埋め戻す
- 植え穴いっぱいに水をためながら土を入れて水鉢(みずばち)を作る
- 整地をする
- 必要であれば支柱を付ける
※2.の「植える木の剪定」は小さい苗木や枝の形が出来ている木なら、植えてからでも大丈夫です。脚立を使うほどの大きさがある場合は、木が横になっている植える前の方が地面で剪定が出来るので楽です。
一連の流れを簡単に書くとこんな感じです。ここから一つ一つ書いていきます。
1.場所を決める
植えようとしている木がその場所に適しているか考えます。
木を植えると枯れない限り必ず大きくなるので、その木がどれくらいの大きさになるかを先に調べておきましょう。
植えても良い場所
- 大きくなっても隣の木とぶつからない
- 枝が伸びても隣の敷地にはみ出さない
- 成長しても家を傷つけない
- 根が伸びても埋設物・ブロック塀・駐車場・家の土台等を壊さない
- 成長しても生活に支障がない
この全てが当てはまる場所に、成長を考慮した木を植えましょう。
2.植える木の剪定をする
木を植えるときの剪定はすごく大事です。
これをやらずに植えると枯れてしまう可能性があるからです。
種類ごとの剪定目安
- 自然形は、枝や葉の数が半分くらい
- 刈り込んで形を整えてあるものは、強めの刈り込み
根の長さと枝の成長はほとんどの樹木で比例しています。根を切ったら枝も切らないと、栄養のバランスが崩れて枯れ枝ができてしまう、もしくは枯れてしまいます。

高木を植えるときの剪定の目安で簡単な考え方は、葉っぱの数が大体半分くらいかそれ以下になれば大丈夫です。場合によっては高さも詰めて大丈夫なので、その木の形や植える場所に合わせて切りましょう。
目安は三分の一か四分の一の高さを切ってしまってもいいです。
しだれ形でも幹を切って、また新しく幹を作ることができます。
苗木なら植えた後に半分くらいの高さで切っても大丈夫です。むしろその方が成長する過程で枝を作りやすいためです。
植える木の剪定は、とにかく植えた木が枯れないためにやることで、枯れなければいい枝が出るので形はそのあとで作って行きましょう。
植木がその場所にしっかりと根を伸ばすことが一番の目的です。
3.植える穴を掘る 根鉢(ねばち)より大きく

根鉢とは根と一緒に土がついている部分です。
苗木や低木はビニール素材のポットのものだったり、苗木~高木は黄色っぽい麻布に巻かれた部分のことです。

根鉢より大きくとは、ピッタリではなくスッポリ収まり前後左右に動かせる余裕があることです。これはすごく大事なことです。
余裕を作ることで微調整が簡単になるのと、根鉢の周りにある石を取り除いてしっかりと土を流し込むことができ、新しい根が伸びやすい環境を作ることができます。
4.木を植穴に立てて向きを見る
ここはちょっと長くなりますが大事な部分です。
- 根鉢が地面より下に埋まらないようにする
- 根張りが見えるように少し浅く植える
- 木の表と裏を見てみる
- 枝の出方を見てなるべく左右対称にしてみる
- ものすごく少しだけ手前に傾けてみる
根鉢と根張りが完全に埋まらないようにする
根鉢の上の面が地面より下に埋まってしまうことを深植え(ふかうえ)といいます。
深く植えると風などで倒れることはないですが、埋められた幹から根が出てきてしまい、生育に悪い状態になってしまいます。
見た目もかなり悪くなるし、移植もできなくなる可能性が高くなります。
根張りが見えるように少し浅く植える

根張りとは幹から根にむかって広がっている部分です。
根張りが見えるくらいのところで植えてあげると根も伸びやすく見た目もきれいな仕上がりになります。
ここでポイントとなるのが、わざと浅く植える見せ方です。1本1本の木に存在感を持たせるために、根元が少し山になるくらいの仕上がりにします。年月が経ち成長した根張りが見えると、庭の雰囲気が良く見えます。
木の表と裏を見てみる
場所が決まり植える穴に木を立てたときに、枝の出方をみてその木の見え方を見てみましょう。
基本的には幹が見えるのが表で、よく目にする方に向けます。枝の具合は幹を芯として横に広く見える感じです。円柱形などの形はまっすぐ植えれば大丈夫です。
基本はこんな感じなのですが、ここに関しては本当に見る人の感覚が全てです。もしも10人の親方が居たとしたら10人が違うところを表と言うかもしれません。これは大げさかもしれないですが、それくらい曖昧なのが植木の裏と表です。
枝の出方をなるべく左右対称にしてみる
木はなかなか左右対称ではなく、利き枝というものがあります。
人間の利き手のように片方だけ強い枝が出ることがあるので、なるべくとしてあります。
強い枝を北向きにする方法もあります。日当たりの調整です。
剪定で形が整えられていると思うので大体の左右対称に植えて、後々、枝や形を整えれば大丈夫です。
ですが、利き枝を利用する植え方が次の項目です。
ものすごく少しだけ手前に傾けてみる
丸い低木・円柱形の中木などはまっすぐに見えるように植えれば大丈夫ですが、幹が曲がっていたり株立ち(かぶたち・地面もしくは、地面近くから幹が複数あるもの)は植えるのが難しいです。
幹が途中から少しだけ曲がっている場合は、幹をまっすぐにしないで木の全体の輪郭を左右対称になるようにするか、枝の角度を見てまっすぐに見えるように調整しながら植えます。
株立ちの場合は全体の輪郭で調整するのは同じで、複数ある幹の中で1番背の高いものが奥になると背の低い幹も活きてきます。
今では少なくなってきた日本庭園では、1本の木でも株立ちでも植える時に、少しだけ前かがみに植えるのが格好がつきます。前かがみとは、眺めるところやその木が目につくところから見て、手前にほんの少しだけ傾ける植え方です。

このときに前の項目で書いた「利き枝」の方に少しだけ傾けるというのも一つの基準になります。
傾き過ぎてもただ曲がっているだけに見えてしまうので、感覚的なことになってしまうのですが、その場所に合う植え方と納得できるのが1番良いと思います。植える人や植えてもらう人が満足できればそれが正解だと思います。
土を7~8割埋め戻す
最初から全部埋めて踏んでしまうと、表面だけ固まって根鉢の下の方がフワフワの状態だと、水をあげたときに急に穴が開いたり木が少し沈んだりしてしまいます。

そのため、最初は7~8割土を戻して水を植穴いっぱいに注ぎます。
この方法を「水ぎめ」といいます。根と土をまんべんなくくっつけることができます。
植え穴いっぱいに水をためながら土を入れて水鉢(みずばち)を作る
植穴が水でいっぱいになる前くらいからジョレンなどを使い土も少しづつ戻していきます。
根鉢の上の面が埋まらないように注意しましょう。

ここまで来たら水鉢を作ります。
水鉢とは、雨も含め、水を根鉢に集めるようにするためのダムや堤防のような役割をしてくれます。
整地をする(くまで・こうがい板)

最後の仕上げに整地をします。
整地は水が引いていないときにやるとグチャグチャになって汚くなってしまうので、表面の水が引けたらきれいに平らにしましょう。
くまでで石などを取り除きます。
自分で作れる地面をきれいに均すための「こうがい板」を使うとやりやすい場合もあります。
必要であれば支柱を付ける
浅く植えると木が倒れやすくなってしまうので、支えるための支柱(しちゅう)をしましょう。一番簡単な付け方は、1本の竹や支柱材を斜めに地面に挿して木に縛り付ける方法です。

竹の場合はこんな感じで付けるだけで倒れなくなります。
竹と竹が当たる部分の灰色の部分はハリガネです。
丸太の方は「二脚鳥居支柱」と言って、街路樹や公園などで見かけることがあると思います。
いろいろな種類の支柱の付け方や縛り方があるため別の記事で紹介していきます。
まとめ
ちょっと長くなってしまいましたが、木を植える時はこれらのことを一連の流れでやっていきます。
このやり方を簡単に考えると
- 場所と樹種を決める
- 買ってきた木・届いた木を剪定する
- 穴を掘る(大きさが分かっていれば先に掘っておいても大丈夫)
- 木をみて大体の表裏を決める
- 穴の中に立てて、根の高さと木のバランスを確認する
- 土を7~8割程度埋め戻しす
- 水を植え穴イッパイに注ぐ
- 根鉢が隠れないように土を入れる
- 水ばちを作りながら整地をする
- 必要ならば支柱をする
こんな感じなので難しく考える必要はありません。
植えた後は、暑い日に木が枯れないように水くれはちゃんとやりましょう。
自分が喉が乾くのと同じで、木も水分が必要です。水が欲しい合図は、新しい枝や芽ほど出やすく、垂れ下がったりしおれてきたりするので良く面倒をみてあげてください。
木を植えたら手入れをしなければいけないので、使う道具のおすすめや剪定から片付けまでのやり方をホームにまとめてあります。
参考にしていただけたら嬉しいです。
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