アジサイの特徴が分かれば手入れのやり方も楽になる

梅雨の時期を鮮やかに彩ってくれる、品種の多い花木。

手入れして花があまり咲かなくなるのは、アジサイの花の咲かせ方に特徴があるからです

そこを理解すれば毎年花を咲かせながら、大きさを調整することができます。

  • 花になる芽を「花芽(はなめ・かが)」
  • 葉になる芽を「葉芽(はめ・ようが)」

といいます。

アジサイ・花芽と葉芽
花芽と葉芽の見分け

花芽は葉芽より大きいため違いが分かりやすいです。

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アジサイの特徴が分かれば手入れのやり方も楽になる

6つの特徴
  1. 花芽から伸びた枝の先に花を咲かせる
  2. 手入れのときに花芽を残さなければ咲かない
  3. 切ると花つきがあまりよくない。咲いても小さかったりする
  4. 以外と大きくなるので、植える場所は広めに考えておく(幅2~3m)
  5. 「さし木」にすると増やせる
  6. 大きな花を咲かせるには手入れをしない

1.花芽が多くあればそれだけ花が咲きます

2.手入れのときに、小さくしようとして花芽がなくなると咲かなくなってしまいます。

ハサミで切った下の芽から新しい枝が伸びても、それが花芽ではなかったら咲かなくなります。

3.毎年の手入れのやり方次第で、切ると花が小さくなってしまうことがあります。

4.植える時にブロックやフェンスなどの敷地の端の方に植えると、隣の敷地にはみ出すし、手入れがやりにくくなりなってしまいます。

木や物の近くに植えるのも同じことが言えますので、ちゃんと間を開けましょう。

5.さし木にすると簡単に増やすことができます。

6.アジサイに大きな花を咲かせるには、全く手入れをしない事です。手入れをする場合は、古い枝を残すと花が大振りになりやすいです。

この6つをふまえて手入れのやり方を決めていきましょう。

剪定の時期とやり方

アジサイの手入れをしているところを、想像しながら読んでいただければイメージをつかみやすいと思います。

手入れに適している時期

12~2月の落葉しているときに手入れをすると、枝全部が見えて花芽を見つけやすいです。

花が終わった後の剪定は7月下旬~8月上旬です。

花芽を残すためにすること

花が終わってすぐの手入れの場合は、花がら(はながら・花が咲き終わって茶色くなった部分)から下の2~3節目の所で切るだけにしましょう。

アジサイ・花柄
花の終わりかけ・花柄(はながら)
アジサイ・花の終わり
花柄を切るところ

その理由は2つで、

  • 切った下の芽が花芽になる可能性
  • 花がらを付けておくと樹勢が弱るしその枝には花が咲かない可能性

なので、花がらを切るのは花芽を残すことにつながります。

今年咲いていない枝は、来年花を咲かせるための花芽を用意しているので、切らなければ花が咲きます。

剪定のやり方を決める

剪定を始める前に「どんな目的で手入れをするか」を決めると、あとが楽になります。

手入れの種類
  • 一般的な手入れ
  • とにかく小さくしたい
  • 大きさはこのままで、ちょっとスッキリさせたい
  • 丸くしないで太めの枝で株立ちにしたい
  • 株を小さくしたい(やり直したい)
  • やり直したい(さし木・取り木が簡単)

注意(どのやり方でも共通)

切る時は持ちながら切るようにして、株の中の方に枝が落ちないように自分の横か後ろに落としましょう。

落とす時になんとなくでいいので、向きが揃っていると片付けが物凄く楽になります。

株の中に入ってしまうと片付けがやりづらくなり、時間の無駄になってしまいます。

楽をしようとして、刈り込みバサミやヘッジトリマーを使う人もいますが、完全に遠回りです。

刈り込むのは楽ですが、片付けが面倒になるし花芽があったりなかったり、花芽の上の残った枝が枯れて汚くなるなど色々なデメリットがあるためやらない方がいいです。

一般的な手入れ(花芽残し)

全ての枝を切ることが目的ではありません。

アジサイ・基本剪定
アジサイの基本剪定例

今年咲いていない枝は、切らないようにすると来年咲きます

大きさの決め方にもよりますが、根本から元気良く伸びている枝には大きな花が咲くことが多いです。

切り始める前に、全体の花芽をざっと確認しておくと、仕上がりを丸くしながら全ての枝に花芽を残せます。

花芽が残る位置はそれぞれの枝で違いますが、少し離れたところから見ると丸く見えると思います。

切り口がピシッと揃うわけではなく、揃っているように見せることができます。

花が咲くと重くなり、枝が地面についてしまう場合は、その枝を元から切ると下回り一週がきれいになります

隣の枝と絡んでしまう場合は、どちらかを元から切るか途中の芽のところで切ります。

小さくしたい

一気に小さく(花芽無し)

アジサイ・一気に小さく
一気に小さくする例

花を一年~二年我慢して小さくする方法です。

地面の近くから全ての枝を切るだけなのですごく簡単に小さくできます。

枯れずに新しい枝が伸びてきます。伸びてきた枝が自然形になるので、形の作り直しにもなります。

二年かかるが小さく(花芽残し)①

ちょっと手間がかかるけど、毎年花を咲かせながら小さくしていく方法です。

アジサイ・小さく剪定
小さくする例

一年目は、株の中で太めの枝半分くらいの本数を元から切ります。

残した半分くらいは花芽のすぐ上で切ります。

株から出ている細い枝はそのまま残します

二年目は、前の年に残した太い枝を元から切ります。

残しておいた細い枝が、成長しているので花芽の上で切り、形を整えます

このやり方は臨機応変にやらなければいけないため、難しくなりますがやっていることは単純です。

簡単にやるための考え方は、「一本飛ばしで元から切る」ことに集中して、仕上がりのイメージからはみ出している枝は、花芽の上で切ることです。

二年かかるが小さく(花芽残し)②

こちらのやり方は①より見た目が悪くなりますが、簡単に終わらせるためのやり方です。

切り方は①も②も変わりません。

一年目と二年目の手入れを株の半分でやっていきます。

アジサイ・半分づつ小さく
一年目は裏側・二年目で仕上げる

庭に植えてあるアジサイの裏側を見るには裏側に回り込まなければ見えないため、家側から眺めても見えませんよね。

なので、一年目は裏側を小さくして、二年目は表側を小さくすれば結果は同じです。

ですが、見た目が悪くなるという欠点については、半分だけ手入れをしてあるため、途中でやめたみたいになってしまいます。

一年目の手入れが丸見えになってしまうところに植えてあるアジサイではあまりおすすめできません。

裏側が見えにくいアジサイにはちょうどいい手入れとなります。

大きさはこのままスッキリ

今の大きさがちょうどいい、でもちょっとモサモサしている感じが気になる場合にはこの方法でいいと思います。

この方法は少し透かしてあげればいいだけなので、地面に着いてしまっている部分を元から切り、絡み合ってしまう枝を元か花芽のあるところで切るだけでかなり印象が変わります。

ポイントは切りすぎてはいけないというところです。
あまり切ってしまうと、他の枝に栄養が行くため大きさのキープができなくなる可能性があります。

ちょっと「切らな過ぎたかなぁ」くらいで丁度いいと思いますので、剪定の途中で離れて確認しながら手入れをしていきましょう。

植木の手入れは自分のイメージの中での仕上がりに近づき、「これでよし」と納得できることが大切になってきます。

丸くしないで太めの枝で株立ちにしたい

仕上がりが丸い形というイメージの強いアジサイですが、地植えで盆栽のような形にしたい場合の手入れのやり方です。

アジサイ・株立ち
株立ち風イメージ

株が大きい場合はこのやり方はおすすめできません。

この仕立て方は結構スカスカになる程の剪定です。

手順は、

手順
  1. 最初に仕上がりをイメージしてみる
  2. 株から出ている枝の中で太い枝、もしくは高さがちょうどいい枝を好きな本数残す
  3. それ以外は全て元から切る
  4. 花芽のあるところで切る
  5. 最後に形をイメージする

1~3は同時にやっていくような感じです。

何本の株立ちにするかを決めながら徐々に減らしていくと形が見えてきます。

残す本数・高さ・花芽の残る枝などを考えるところが一番の難しさになりますが、それが決まってしまえば数本の枝の花芽のところで切るだけなので、そこまでが時間がかかります。

最後にもう一回イメージしてみます。
もし「失敗したかなぁ」ってなっても全然大丈夫です。
木は伸びるので失敗してもまた挑戦できます。だから自信をもって剪定してみましょう。

株を小さくしたい

今植えてあるところが狭くなってしまったために株を小さくしたい。
株を二つに分けて違うところに植えたい。

理由は色々あると思います。

この方法は結構大変な思いをします。

アジサイは結構移植に弱かったりするのでちょっと気を使います

理由は手順2と3のところです。

手順
  1. 剪定する
  2. 株の周りを大きめに掘る
  3. 細い根を多く残すように、剪定バサミやノコギリで切り分ける
  4. 大きさを調整したら植える
アジサイ・株分け
掘り取りイメージ

1.なぜ剪定するのかは、根が切られると栄養が行き渡らなくなるためです。

根を切ったのに枝を切らないでいると、弱ったり枯れたりします。これはどの樹種でも同じことが言えるので覚えておきましょう。

2.大きめに掘らなければ、栄養を吸い上げる役割をするひげ根(ひげね・クシュクシュっとした細い根)を残しにくくなってしまうためです。

3.切り分けるときは石に気を付けながら切りましょう。
剪定バサミで切れないほどの大きな株はノコギリを使ってみましょう。

石に刃物が当たるとあっという間に刃こぼれして切れなくなってしまいます。

根や石を見つけにくい場合は、水で土を洗い流して見やすくしても良いと思います。

勢い良く一気に水をかけると重みで細い根が切れてしまう恐れがあるので、緩やかな流水で流すか大きなバケツに水を溜めてその中に優しく浸けてチャプチャプ揺らしたりすると負荷がかかりにくく土や石を落とせます。

4.植え方は、根鉢(ねばち・土と根が一緒になっている部分)よりも大きな植穴(うえあな・根鉢が入る穴)を掘りましょう。

穴を大きめに掘ると、土がほぐされて根が成長しやすくなったり、石を取り除くことができたりと色々いいことがあります。

植穴の中に根鉢を入れたら次のことを確認します。

気を付ける点
  • 根鉢の表面の高さが地面より少しだけ高め
  • 土は全部いっぺんに埋め戻さないで、7~8割り程埋める
  • 水は植穴の中が水でいっぱいになり、あふれるくらいまで注ぐ
  • 最後に土を全て埋め戻し整地する

これらに気を付けながら植えて完成です。
残りの株は知人友人に貰い手がいればいいですが、いなかった場合は地方自治体の決まりに従い処分しましょう。

植え方の細かい部分は、こちらの記事で紹介していますので、参考にしていただけたら嬉しいです。

やり直したい(さし木・取り木が簡単)

アジサイはさし木で簡単に増やすことができるので、増やしたりやり直したりできます。

増やし方はいくつかありますがここでは簡単な方法を2種類書きます。

  • さし木
  • 取り木

さし木

6~7月頃の新芽が一番いいですが、花が咲く前の枝でも大丈夫です。

丁寧なやり方もありますが、切った枝をただただ地面に挿すだけで大丈夫です。

アジサイ・さし木
さし木のやり方例

挿す枝は枝の先でもいいし、枝の途中でもいいです。
例えば、1本の枝を元の方から切ったとしたらそれを芽が残る位置で切り分けます。
切り分けるときに切り口を斜めにする挿しやすいし、断面が広いほうが水を吸収しやすくなります。
それを地面に挿します。

これだけで完了です。

水やりは暑い日だったら地表が乾いたらあげましょう。それほど気を使わなくても大丈夫です。(朝夕を目安)

取り木

取り木もすごく簡単で、一番手間がかからないと思います。

アジサイ・取り木
取り木のやり方例

枝の途中が地面に着いたままの状態にしておけばそこから根が出ます。
これは自然に起こる現象です。
この現象を必然にするだけなので、地面近くの枝を切らずに真ん中辺りを土で埋めるか、Uピンで軽く押さえつけておくだけです。

土に密着している部分から勝手に根が出てきます。
根が出たことを確認したら切り離して完了です。

まとめ

アジサイの手入れは簡単なようで難しい一面を持っていますね。

花芽は葉芽より大きいので切るとこが分かりやすいです。

手入れをする時期は、12月~2月頃

一番簡単な手入れの方法としては、

これを覚えよう
  • 花が終わったら花がらから2~3節目の芽の上で切る7月~8月上旬
  • 葉芽ではなく、花芽の上で切る
  • 切るときは持ちながら切り、自分の横か後ろになるべく揃えて落とすと片付けが楽

この3つが分かるだけで剪定はできるようになります。

ここから自分の思う形に仕上げていくことが一番の醍醐味になります。

木の剪定は大きい小さい関係なく、やらなきゃと思うと面倒くさくなるので、どうせやるなら実験したり試したりしながらちょっとでも楽しみを見つけると気持ちが楽になると思います。

長い記事になってしまいましたが、こんなやり方もあることを知ってもらえたら嬉しいです。

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